[A case of primary hemorrhagic thrombocythemia associated with marked coagulation disorders].

I.緒 言 臨床上,慢 性骨髄性白血病,真 性多血症,摘 脾 後などに,末 梢血中に著明な血小板の増加を経験 するが,ま れにこのような原疾患がな く,し か も 持続的に高度の血小板増加をみることがある.こ れを原発性血小板血症 といい,1934年Epsteinら の 報告に始まり,本 邦でも1939年 赤崎,浜 口の報告 以来約20例 を数える.本 症では血栓あるいは出血 という,い わゆ る"thrombohemorrhagic phenomena"が しば しば認め られ るが,止 血異常の機序 については異論が多 く,そ れについて充分な検索 をお こなつた例はまれであ る.著 者 らは著明な凝 血異常を伴つた本症 と思われる1例 を経験 したの で,本 症における出血性素因の発現について若干 の考察を加えて報告する. II.症 例 患者:17才,女,高 校生. 主訴:術 後の止血困難. 家族歴:特 記すべ きものなし.出 血性素因な し. 既往歴:13才,左 下眼〓 に小豆大の「おでき」 ができ(霰 粒腫?)摘 出したが,そ の際止血困難 なし,月 経は周期,量 とも正常.他 にこれまで, 紫斑,止 血異常,血 管閉塞を思わせる症状を認め た ことはない. 現病歴:昭 和45年1月 下旬,右 下眼〓 に小豆 大の霰粒腫が生 じ,眼 科医にて2月2日 切除をう けた ところ,出 血が一昼夜持続,圧 迫により止血 したが,翌 日再出血があ り血管の結紮を うけた. 〔昭和45年6月21日第46回 信越 地方会推薦 〕